クックパッドのこと

新規上場−クックパッド株式会社−東京証券取引所
http://www.tse.or.jp/listing/new/200907/7cook.html

本日発表された、まさかのクックパッド上場承認。

関係者の皆様おめでとうございます。
新興市場が干上がっているこの時期に、よい起爆剤としてクックパッドの上場が機能してくれるとホントにいいですよね。ここでそれなりの価格が付けばある程度、前向きな空気が流れるんじゃないでしょうかね。それにしても利益率スゴイですね。売上6億7千万で純利益1億7千万ですか。
ちなみに、売出株放出元で社長の佐野さんと並んで書かれている穐田さんは、ジャフコ→カカクコム2代目社長→イマココ、って人ですね。カカクコムの時はマザーズから東証1部に鞍替えしたり、M&Aを積極的に行ったりしていました。どうなんですかね、後で書評書きますけど、資金ニーズがあるんでしょうか。穐田さんマネーが入ったプレッシャーなんでしょうか。
今後の展開が楽しみです。クックパッドにはぜひ世界で戦ってほしいし、実際世界で勝負することを目的としてサービス開発を行っている印象を本からも受けたので、実際にこの上場で調達した資金で事業展開するんですかねぇ。全く分からないですね。笑
まぁいろいろ考えることはあるとしても、ホントに少し明るくなれる上場案件ですよね。
で、けっこう前なんですけど、この本『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』を読んで大いに感動していたので、まぁこういうニュースのついでに紹介。

クックパッド」すごすぎる。
読んでいる途中にそう思わざるを得ない内容。

僕自身、ウェブコミュニティの運営にもう2年くらい関わっていますが、ここまでサービスを丁寧に作り上げているトコロはなかなかありません。それは開発者のみならず全員にクックパッドを運営することの「掟」のような理念がしっかりと確立しており、かつ浸透しているからに違いないと感じます。

「レシピを見る」「レシピを投稿する」ただ、これだけのどこにでもあるレシピサイトが会員600万人を集め、年間の広告出稿量ランキングに Yahoo!mixiと肩を並べることができる、というこの事実は、Web2.0サービスのマネタイズが難しい、無料サービスの限界、課金モデル、という空気が流れる中で一種のオプティミズムを示してくれていると感じることができます。実際、クックパッドクックパッドの運営のみで会社が経営できているし、そして今回株式まで上場してしまった。

丁寧に、ユーザー第一、また技術的にも、インターフェースからレスポンススピード、回遊順路を徹底的に調べ上げる、こうした異常とも思える丁寧なサービス作りを行えば、無料サービスを作り上げ立たせることができるのだと、ウェブサービスに携わっていて本当に前向きになることができます。そして何より、バッサリと今まであった「機能を捨てる」という行動。この勇気。そしてその背景にある、意思決定の徹底すぎるロジカルさ。クックパッドにおいては、例えばオフィスの移転でもそう。

駅のホームと電車が来て乗るまでの時間を測り、自給換算します。どれだけ短縮できたら、どれだけ多くのオフィス賃料が払えるか計算するんです。例えば、引越しすることで1日何件多く回れるか。(中略)・・・最終的に数値化できないといけない。

こうした異常とも言える徹底的なロジックに基いた意思決定がこの会社を支えているのです。

また、アメリカは他民族国家だから、そこで勝負しようとすれば、直感的に触ることができるユーザーインターフェースを作る、それがイコール世界で戦える、ということだ、日本のサービスは説明が多すぎる」という部分はまさにその通り、真理だと言っても過言ではない確信がありました。「広告」に対する考え方についても多くの気づきがあり、読んでいく中で今まで考えたこともない思考の世界に入ることができます。

本著では「起業すること」や「仕事」をどう捉えるか、ということも感じることができます。そういう意味では、サービス運営者だけでなく学生にもおススメの内容です。まだまだ日本のウェブは捨てたものではないと思ったし、こういった気概を持った組織を、事業を、作り上げたいものだーと改めて感じてワクワクしました。

非常に良著です。本当にオススメ。

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-書評-600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス

やっぱコガイダンレビューはおもしろい。