生モギケンイチロウ

かなり時間が経ってしまいましたが、5月9日日曜日に中央大学文学部に茂木健一郎さんが講演会に来る、と聞いたので行って来ました。プロフェッショナルを第2回から見始め(高3の頃だったような)茂木さんの司会と的確な質問に魅了され、講演会をmp3で落として聞き、云々・・・という完全なる茂木フリーク。

開場

13時講演開始で、12時20分開場。行ってみると既に列が。しかし、時間も開場とほぼ同時だったこともあり、前から4列目のかなり近い席に座ることができました。


生茂木講演会を今から聞ける、という時にmp3を聞いて講演会脳に。

僕はこの浦和高校の講演会が非常に好きです。

茂木さん登場

今回話す内容は外で待っていた1分間で考えたそうで、いつものリュックサックでプロフェッショナルで見たままのスタイル。早足で入り、無造作にドサっとリュックを置き、すぐさま話し始める。1秒間集中法・・・?(・ω・)

途中からTシャツに。りんごのTシャツ見たかった><

もうこの講演会は撮影しても録画録音してネットにあげていいから!といつもの感じ。

Google Book Search

まぁGoogle Book Searchというものがあって・・・という話し。これからの人は(僕達大学生に向けて)こういうものに興味を持つかどうかが試金石だ、とおっしゃっていました。茂木さん的には、自分の本をスキャンして全部アップされても構わないらしい。それによって本を買わなくなることはない、と。茂木さんは、突発的に(例えば『三四郎』とか)本が読みたくなると、その辺の本屋で買ってガーっと読んじゃうらしい。そのおかげで家に『三四郎』が10冊以上ある、と言っていました。
まぁ茂木さんのその行動は特別な気もしますが、紙の味わいや、そういった電子書籍の媒体が、高年層などのターゲットにうまくリーチできるか、などいろいろな問題から紙はまだまだなくならないでしょうね。(減ってはいくと思いますが)

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5 ストレイシープという呪文
5 明治の東京
4 羊は迷ってぐるぐる徘徊し過ぎてジンギスカンになった
5 漱石の日本語は四角い。
5 新入生の皆さん、是非読んでください

梅田望夫さんの話

シリコンバレーから将棋を観る』の英語・仏語・など訳は勝手にしてくれ、と言ったところ、大学生がGW中に全訳してすでに英語版はある。もうこんな時代なんだ、とおっしゃっていました。

新著「シリコンバレーから将棋を観る」は、何語に翻訳してウェブにアップすることも自由、とします。
「みんなで丸ごと英訳」プロジェクトの発足−My Life Between Silicon Valley and Japan


「学ぶ」ということ

バブルの頃は「学ぶ」ということをないがしろにする風潮があった。(茂木さんが大学生の頃)でも、今は時代が変わった。世界は「知の大競争時代」になったんだ、と。
そうなってくると、次は↓を考えることになる。

「組織」って何かを考える

「君たちにとって大学はどれくらいのウエイトを占めていますか?」
上の英語翻訳プロジェクトなんかができる時代に「組織」というものがどういう意味をなしているのか、という話。今は大学の意味や役割が変質しつつある。例えば論文や資料はネットでpdfで落ちているし、YouTubeでは有名教授の講義が見れる。こんなすばらしいことはなかなかない。要するに、「学びの場」はネット上にいっぱいある、ということ。(おススメでリチャード・ドンキンスのディベートを出しておられました。)

だから英語を学べ。英語と日本語では情報の質が全く違う、とのこと。

この辺は「フューチャリスト宣言」と同じ内容ですかね。
梅田さん的には「思考性」の共同体をいかに作るか。ということ。ツールはネット、これは組織を超えるし、世界を変えられるんだ、と。

You Tube

まず日本のネット観について。
日本のネットは嫌いじゃないけど、文明観は少ない、と思っているらしい。そしてYou Tube

You Tubeは英知の集積である。
2chやニコ動のコミュニティの臭いがするけど、それはそれでいい。それも1つの文明観か。ただ、このロゴの意味、「Broadcast」の意味を考えよう、「Broadcast」できるようになったんだ!→だからそれを見ないと!

結局

世界は君達の英知を必要としている。雇用とか社会問題解決はインテリジェンスの問題なんだ、と。要するに、大学なんて関係ないんだ(昔は私塾中心だった)
だから弟子は常に募集中。
学部学科関係ない。よくメールで理論がうんぬんとか送ってくる人がいるけど、うさんくさい。そんな人が多いけど、たまーに、すばらしい人がいるらしい。弟子になると出版社(者)とかも紹介できるよ、とメリットも宣伝していました。

脳の話

ドリルをやると頭がよくなる。は脳を馬鹿にしている、らしい。どうなるか分からない状況(遇有性)で、どうするか、どう適応するのか、が脳の一番大事な働きだそうです。

感情の話

今、化粧の研究をしている。まず、鏡を見て自分を認識する動物というのは少ないというはなし。人間、チンパンジーオラウータン、イルカ、カササギ、アジア象、シャチ・・・など。その中でもどう見えているのか気にする動物は人間だけ、らしい。
化粧とは、他人に見られることを前提にしている。だから女性が自分の「化粧してない顔」を見たときに、他人を見る時の脳の働きをするらしい。そこから男は女に比べて意識のレベルが低い、といわれていました。
ちなみに、女性は好きな人向けの化粧が違う、と言われていたのですが本当ですか?笑

利他性

他人のために何かをする。ということも脳の働きで興味深い部分なんだと。この利他性の反映の多さは、組織の関わりが多様であればあるほど、利他的な行動が安定して反映しやすいそうです。1つの組織にいるだけの人より、複数の組織に属する人の方が、と同義。
確かに、日常の中で「何でコイツ気使ってあげれねーんだよ(思いやり足りねえなぁ)」と思う時がたまーーーに、ありますが、そういう人に限ってどこの組織にも属してなく自分の生活のペースを乱されたくない、みたいな人がいたなぁ、と。大学生で一人暮らししてサークル入ってない人、とか最近多いし、そういう人に多いような気がしますね。

最後に。

だからネットでもいいから外に出ろ!そして同じ匂いの人を探してほしい。情熱を持て。中大(ある組織)の一員になったからって、アイデンティティができるのはダメなんだ!福沢諭吉は14歳まで字が読めなかったけど、猛勉強(関塾とか)して、慶応義塾も作った。だから福沢諭吉になって、慶応を作れ!(思考性の共同体)
「情熱 - Passion」には「受難する」という意味もある。「苦労ができる、受難できる」というのは1つの才能なんだ。

↑キリストの十字架にかけられて死ぬのもpassionって言うんだって。知らなかった。

質疑応答

もう箇条書きで茂木さんの答えで響いたワードだけ。
■モチベーションを保つには、自分の頭を忙しくしておくということが大切。
■あまり他人には期待するな、基本は独学だ。
■好奇心を保つには、自分に欠落しているものを常に理解していること。ソクラテス無知の知
■挑戦することが本を読む以外にも自分を高めてくれる。
■(茂木さんが)今興味あるのは「自由」について。
■楽しいことを見つけたら寄り添い続けろ。
■人生なんて愛したものを愛し続けるだけで終わるんだ。

無記について

「無記」(avyaakata, avyaakRta)とは、形而上学的な問題について判断を示さず沈黙を守ることである。無用な論争の弊害からのがれ、苦しみからの解放という本来の目的を見失わないためにとられた立場である。−インド思想史略説
「無記」が大切なのは - 茂木健一郎 クオリア日記


目の前に毒矢が刺さって苦しんでいる人がいる時に、矢がどこから飛んできたのだろう?とか考えないですよね。目の前のことに一生懸命になるじゃないですか。というお話。どうしようもないことにあれこれ悩んでないで目の前のことをやれ、という話でした。これはおもしろかった。

プロフェッショナルについて

プロフェッショナルの人たちは普通の人たちと何が違うんですか?という質問に対する回答。挫折を経験に大きく飛躍していること。色川武彦(多分・・・?)が「9勝6敗、8勝7敗とかが丁度よい」と言っていたと。この6敗、7敗で何を考えどう感じるのかが大事なんだ、とおっしゃっていました。

ブログについて

茂木健一郎 クオリア日記

ブログは毎日私塾のつもりで書いている、と。(僕のブログとは大違いですね笑)ブログは長期的に、実名(もしくは同じHNで)にやるのが好ましい。自己紹介する時に「私の名前で検索してください」と言えるようになることがとてもよいと思う、とのこと。


ここで時間切れ。

講演会の内容的には『フューチャリスト宣言』と講演会mp3(全国小学校道徳研究大会・浦和高校・朝日カルチャーセンター・米津小学校)のものを聞けば代替網羅できる(既読になる)ものでしたが、あの生での心に響く感じ、また「お前」とか「〜するじゃん!」とか茂木さんのあの話し方が非常に聞きやすくておもしろい。
参加して本当に良かったです。残りの学生生活、何をするかもう一度考えようと思いました。

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